昨今の生活様式の変化で、自宅で過ごす時間が増え、ZOOMなどのビデオ通話、オンライン授業、リモートワーク(テレワーク)などが当たり前に生活になじんできました。
この流れは今後も続くとみられ、大企業をはじめ、さまざまな企業が働き方を大きく見直しました。昨今では職場をオンライン化してしまう「バーチャルオフィスツール」の活用が進んできています。そのツールでは、職場をイメージした仮想空間にオンライン上で従業員が集まり、みんなで働くことができます。
この記事では、そんな仮想空間で働くことのできる「オフィスツールの活用」について、深掘りしていこうと思います。
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バーチャルオフィスとは
まず、一般的に「バーチャルオフィス」とは、実体のない事務所に実際の住所を貸し出す事業のことをいうそうです。その住所は開業要件を満たせば、事業として法人を立ち上げることも可能です。
それだけでなく、そこに来た電話や郵便を代行して伝達するサービスなども行っており、事業者は短期間でオフィスを借りられるほか、低コストで事業を始めることができます。
しかし、そこには「実態のある働く場所」はないため、代わりにバーチャルな職場を提供しているオフィスツールを活用し、働く場所にとらわれることのない会社を作ることができます。
そこでは、リモートワークなどとは違い、自分のアバターなどを使用して、職場環境に似せたバーチャル空間で働いている感覚を味わうことができます。
昨今の職場に行かない働き方が増えてきた中、住所を借りて事業を立ち上げるような新しい企業だけでなく、現実の会社と仮想空間のオフィスを両立して活用する企業が増えてきています。
ゲームのような世界ですが、なぜ注目され広がりを見せているのでしょうか。
バーチャルオフィスツールの活用メリットとデメリット
ここでは、バーチャルオフィスツール活用のメリットとデメリットを社員側、経営側の両者で考えていきます。あくまで一般的な意見で、バーチャルオフィスのツールによってもできることが異なりますので、参考程度にしていただければ幸いです。
社員側のメリット
まずは社員側のメリットです。
・通勤の時間を削減できる
これはテレワークのメリットでもありますが、バーチャルオフィスによって通勤時間が節約になります。始業する時間の1時間前に家を出ているとしたら、1日あたり2時間、1か月で働く日数が20日だとすると約40時間も余分な時間を生み出すことができます。
・オンライン上のコミュニケーションがとりやすい
テレワークの普及は、都合が良いこともありますが、一方で、だれが、何をしているのかがわかりづらくなったり、コミュニケーションが不足したりすることがあります。
そんな時に活躍するのがバーチャルオフィスで、オンラインで行う仕事を可視化することができます。家で仕事をしていても組織で働いている実感がわきますし、チャット機能などを使って会社にいるような感覚で社内コミュニケーションをとることができます。
経営側のメリット
次は経営側のメリットを考えていきます。
・テレワークを管理し、規律を正すことができる
社員側のところでも言ったことですが、テレワークの普及の問題として、だれが何をしているのか把握しづらい点が挙げられます。
経営側はそれを管理するのもコストがかかります。バーチャルオフィスを活用すれば、PCでログイン中、会議中、離籍中、会話OKなど、状況が可視化され、実際のオフィスのように見渡すことができます。
言ってみれば、実際の職場では、人目があるから、さぼらず真面目に働こうとする意識が自然と出るものです。人目がなく怠けてしまいがちなテレワークでも、バーチャルオフィスでは、会社にいる意識が働き、ある程度、規律が保たれる効果があると考えられます。
・職場のスリム化で家賃を抑えることができる
バーチャルオフィスを活用することによって、実際の事務所を設けることなくオンラインのみで事業を始めることができます。
また、現に事務所がある会社でも、バーチャルオフィスツールを併用することで、社員が毎日事務所に行くことが少なくなり、現実の職場に来る人数が減ります。すると、1人1席、机や椅子を用意することや、活動スペースや、食堂を広くとる必要がなくなり、職場をスリム化することができます。
もちろんバーチャルオフィスでも導入コストや、維持費はかかります。しかし、特に都心などの賃料が高い地域の会社や、従業員が多い企業は、長期的にみると費用削減の効果があると考えられます。
・職場を柔軟にレイアウトできる
実際の職場だと、社員が増えてきて、人事異動や部署変更などがあると、工事や備品の手配などが必要でどうしても時間がかかってしまいます。
しかし、バーチャルの世界では、いきなり新事務所を作って職場スペースを広げたり、部署の移動や組織の変更に柔軟に素早く対応することができます。
社員側のデメリット
デメリットも考えていきます。
・相手の表情や感情を読みづらい
バーチャルオフィスでは、主にアバターを使用して仕事をしますが、みんなが同じようなアバターを使用すると個性がなくなってしまうし、表情や感情も読み取りづらいので、機械的なコミュニケーションになってしまうかもしれません。
・会社、部署間で活用の差が生まれる
もちろんですが、オンラインで働きやすい職場もあれば、向いていない仕事もあります。さらに「隣の部署はバーチャルオフィスを活用しているのに、自分の部署は会社に行かないと仕事にならない」など部署間の格差も生まれがちです。
そのため、バーチャルオフィス導入に、向き不向きのある会社では、従業員間で不満が発生してしまう可能性があります。
経営側のデメリット
経営側のデメリットも考えていきます。
・導入コスト、維持費用はかかる
もちろんバーチャルオフィスでも導入コストや家賃のような維持費用が掛かります。さらに慣れない社員への説明や指導にも時間がかかりますし、乗り気でない社員からの不満の声なども上がってくるでしょう。運営側の労力は結構大変です。
・前例のないトラブルなどが起こりうる
バーチャルオフィスでは今までには起こりえないトラブルなども発生するかもしれません。システムやセキュリティの問題や、バーチャルだからこその人間関係の問題など、体制をしっかり整えたうえで導入しないと業務に支障をきたすことが起こりうるかもしれません。
バーチャルオフィスの例
将来増えていきそうなバーチャルオフィスですが、現状はどんなものがあるのか少しご紹介します。
oVice(オヴィス)
「oVice(オヴィス)」とは、コストも安く、手軽に始められるバーチャルオフィスツールのひとつです。アバターを動かし、会議室の利用や会話、画面共有などさまざまな機能も使用できます。
料金は上限50人で月額5000円程度のコストなので、非常に安い設定になっています。さらにパソコンに1台1台にソフトなどをインストールする必要もなく、ブラウザ上で利用可能で、気軽に導入することができるのが特徴です。
またデザインがシンプルかつ親しみやすく、日本人に受け入れられやすいデザインとなっていて、企業だけでなく、大学や大規模なオンラインイベントなどにも活用されているようです。
企業採用も、TOYOTA、パナソニック、カルビーなどおなじみの大企業も使用しています。
Oasis
「Oasis」は、他のものより費用が少し高く設定されていますが、デザインもオシャレかつ、スタイリッシュなビジネスシーンで使いやすいデザインになっています。
ミーティング中、離籍中、休憩中など現在のステータスが一目でわかるようになっており、リモートワークの人、会議に出席する人、出張の人、在社の人などさまざまな状況の人が混在している職場に向いているかと思います。
Remo
「Remo」は、リアルな交流に近い、体験をオンライン上に再現するバーチャルオフィスツールで、参加者は席や空間を自由に動き回り、リアルに近い感覚で会話に参加することができるのが特徴です。
そのほかにも会議室を簡単に作ったり、大規模なイベントを作成することもできます。ソニーやデンソー、会計ソフトの会社Freeeなどの採用実績があります。
まとめ
以上が、オンラインで働くバーチャルオフィスツールの活用についてでした。
今までは同じ地域の人たちが同じ事務所に集まって、決められた時間、決められた場所に座り仕事をするというのが普通の働く姿でした。
そんな常識も一気に様変わりして、今では、時間、場所、空間にとらわれない働き方が受け入れられています。この状況が続けば間違いなくバーチャルオフィスツールも活用がさらに広がっていくかと思います。
現状は仕事によって、違うツールやソフトを目的によって使い分けたりしなくてはならなくて不便な思いもする時がありますが、ツールがどんどん進化していけば、本当に不自由なくオンライン上で働くことができる時代になっていく気がします。
そんな未来の働き方に期待して、目の前の仕事をがんばっていきましょう。