テクノロジー

「NFT」は今後何に使われる?世の中がどう変わる?

まず簡単にNFTとは「Non-Fungible Token」の略で、日本語では非代替性トークンと呼ばれています。ブロックチェーンや暗号資産の世界では新しい言葉、難しい専門用語が飛び交っているので、調べれば調べるほど意味が分からないし、本当に難しいです。そこで、難しいことはほっといて、なるべくわかりやすくNFTによって世の中がどうなっていくのかを私なりに妄想していきたいと思います。

世の中がどうなっていくのか、どう変わっていくのかなんて誰にもわかりません。あくまで個人の妄想です。

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NFTとは

非代替性トークン(Non-Fungible Token)の説明として、いろんな解釈がされていますが、ざっくり説明すると「替えがきかないデータや証明」ということです。「デジタル所有物」という表現もされていますが、それが一番わかりやすいでしょうか。なぜそれに価値が生まれるかというと、ブロックチェーン技術によって、そのデータのさまざま情報(作成日、作成元、流通量やシリアルナンバー、所持履歴など)が組み込まれることによって、データの信ぴょう性を保証することができるからです。そして、そのデータは勝手に複製できず、情報は誰にも改ざんできないとされているからです。

NFTと普通のデータの違い

その辺に転がっているjpgやpngなどのデータはなぜ価値がないのかというと、だれでも無限に複製できてしまうからです。それがいくら有名なキャラクターであっても、超有名な絵画の画像であっても、誰でもクリック一つで複製でき、メールで自由に人に送ることもできます。

そもそも、データという概念のない大昔は、画家が絵を描いたら、それを欲しい思ってくれた人に作品を1点ずつ売ることができました。絵は人の手で書いているので、もう二度と同じ作品は生まれず、唯一無二なものです。そして壁に飾ったりして、実物があってこそ、楽しむことができるものでした。そこから、写真や印刷の技術が進み、目の前に実物がなくても、それに近いものを楽しむことができるようになり、さらにコンピューターの技術と普及によって、それは誰でも簡単に複製することができるようになりました。

データは誰でも検索ひとつでネットに転がっている大量の画像を見ることができ、保存し、フリー素材かのように利用できてしまいます。だから、誰でも簡単に複製できてしまうものなんて、価値が付くわけありません。もうこうなってくると誰にも止めることが出来なくなり、ネットワーク上からあるデータをすべて消したいと思っても、ネットワーク上やオフライン上にどこに、いくつ存在するかなんてわからないため、完全に消し去ることはできません。

このように、これまでデータというものは、いろんな対策や規制をかけないとなかなか価値をつけることが難しい時代でした。利用する側は何も思わないかもしれませんが、その製作者側からしたら、たまったものではありません。自分が作ったものが勝手に複製され勝手に使われててもお金は1円も入らず、お礼の一つもきません。

しかし、このデータを誰でも複製できてしまう時代に革命を起こそうとしているのが、このブロックチェーン技術を使ったNFTです。NFTはデータの信ぴょう性が証明され、作成者側がNFTとしていくつ世の中に出すかなど決められるので、価値が生まれ、それを欲しいと思う人が現れるのです。

デジタルアートが高額取引される理由

デジタルアートの中で、世界的に有名なクリプトパンクス(Crypto Punks)というものがあります。しかも当時の価値で1点、数億円で取引されたこともありました。絵自体は人間や動物、宇宙人、ゾンビなどをモチーフにした24×24ピクセルのドット絵です。何も知らない人からしたら、お世辞にもこんなに価値が付くとは思えない作品です。なぜそんなにあり得ないほどの価値が付いたかと言えば、「希少性」と「話題性」です。クリプトパンクス(Crypto Punks)はそれぞれ「1点もの」のデザインが1万種類あり、所有したらそのデザインを持っている人は世界で1人ということになります。そしてクリプトパンクス(Crypto Punks)は「世界的に話題になった初めてのNFTアート」とも呼べるので、この先NFTが身近で当たり前なものとなれば、歴史的なアート作品として価値を持ち続けるのではないか思う人が増えていきました。そのおもしろさから世界的に有名な企業や著名人が購入したことでどんどん話題となり、今もとんでもない価格で取引されています。

今後のNFTの用途

ネット上の画像やSNSのアイコンなど

上でも話題に挙げたクリプトパンクス(Crypto Punks)などのアートだけでなく、一般の人が書いたイラストも簡単にNFT化できるようになっています。このように今後さまざまなNFTアートやイラストが増えていくとともに、風景などの写真なんかもNFT化されていくのではないでしょうか。それがどういう使われ方をするかというと、ネット上の画像やSNSのアイコンです。

皆さんSNSなどで使用してるアイコンの画像は何を使っていますか?ネットで拾った写真や、キャラクターだったり、人物を使ってないでしょうか。個人の利用の範囲なので、大きな問題にはならないですが、それは著作権を無視して、無許可で使用しているのことなので、厳密にはいいことではありません。でもそんな人たくさんいるので、現状それを規制なんてできません。じゃあどうするか。例えば、TwitterやInstagramが「アイコンは今後NFTのものじゃないと設定できません。」というルールを決めたらどうなるでしょうか。今まで勝手にネット上で拾った画像を使うことが出来ず、ちゃんと正規で手に入れたNFTの画像を使用することになります。すると一般の人も気が付かないうちにNFTを欲しがり、価値が生まれ、NFTが世の中になじんでいき、クリエイターにも、ちゃんとお金が入る仕組みが自然とでいあがっていくのではないでしょうか。

そんな遠い未来じゃない気がします。あくまで妄想ですが。ネットのサイトに貼られている画像も長い時間をかけてほとんどがNFT化されていくのではないでしょうか。

音楽業界やアーティスト作品

データはイラストや画像だけではありません。音楽のデータもそうです。今までの音楽やアートなどの作品は、クリエイターが一番初めに販売した時は売上としてお金を受け取ることができますが、その購入者がほかの人へ転売されるなどの2次流通後は全くクリエイターにお金が入りません。こういったことから、イラストレータやアーティストは稼ぎにくいという問題になっています。これを解決できるのがNFTです。

NFTはデータをモノとして証明できるだけでなく、データ自体にプログラムを埋め込むことが出来ます。そうすると「ほかの手に渡った際は、元のクリエイターに金額の〇%還元する」「~で使用した際は〇円の使用料がかかる」など様々なことをもプログラムできるようになります。これは、最初にプログラムさえしてしまえば、その後、何の手続きをしなくても自動的に転売手数料や、使用料、著作権料が支払われるシステムが全自動でできあがることになるので、ものすごい革命的な出来事になります。今や楽曲データのダウンロード、ストリーミング再生が当たり前になってきている音楽業界もすごい可能性を秘めています。再生回数、再生時間など利用された状況がとてもわかりやすいので、アーティスト保護の観点からも、この業界がNFTの盛り上がりをけん引してくれないか期待しています。

電子書籍、出版業界

あと身近なものでイメージがしやすいのが電子書籍だと思います。現在の電子書籍はNFT化されていないので、ダウンロード購入したサイト(プラットフォーム)内でしか読めないし、ほかのサイトと互換性がありません。しかし、書籍のNFT化すれば、1点ごとにシリアルナンバー(例えば【初版第1刷#0001】など)が振られ、そのNFTが所有物となるので、いろんなプラットフォームで利用でき、それを読み終えたら古本屋で売りに行くのと同じように、マーケットや個人間でも簡単に売買できるようになるでしょう。そして、これも2次流通でも作者や出版社にお金が入る仕組みをプログラムすれば、新品で買ってもらわないと作者や出版社にはお金が入ってこないという状況が解決できるので、NFT化が進めやすい業界ではないでしょうか。

今すでに本業界は電子書籍への流れが活発で、かなり一般的になっていますが、これはまだNFTではありません。運営会社、出版社に管理されたデータにすぎません。

電子チケット

あとNFTと相性がいいのが、コンサートやライブのチケットです。最近はチケット電子化も当たり前になっていて、スマホをかざすだけで入場できたりします。しかし、いまだにチケット転売目的で購入するいわゆるダフ屋などは存在します。その対策のために本当に予定ができていけなくなった際にほかの人に譲渡したりする際、非常に面倒なこともあります。それがNFTによって解決します。公式から買ってからどういう経緯で人に譲渡されてきたか証拠として記録されていくので、怪しい取引がされたチケットは簡単に摘発することができます。さらに、「定価以上の値段で売ることはできない」なんていうプログラムがされていれば、転売目的の売買はできなくなり、本当に行けなくなった人が、本当に行きたい人に正規の値段で取引できる時代が来るのではないでしょうか。

ブロックチェーンゲーム

NFTとゲームも非常に相性がよく、すでに世界中でブロックチェーン技術やNFTを使った「ブロックチェーンゲーム」が盛んに開発、リリースされています。アクシ―インフィニティやタウンスターといったゲームで実際に稼いでいる人がいると、この界隈では非常に話題になりました。Play to earn(プレイトゥアーン)という「ゲームをプレイしてお金を稼ぐ」という言葉が出てきています。

昔はプログラミングで作成された1本のゲームソフトを完成品として、購入する時代でした。今は家庭用ゲーム機でもネットワークがつなげるのが主流で、パソコンを使うオンラインゲームも非常に普及しています。それにより、世界中のプレイヤーとの交流や協力プレイ、対戦などが盛んにおこなわれています。ゲーム内の通貨に仮想通貨を採用すれば、ゲームプレイを通して仮想通貨を稼ぎ、それを使ってゲーム内アイテムやコンテンツ、シーズンパスなどをNFTとして購入でき、プレイヤー同士で売買をできることによってゲーム内で経済圏ができあがります。さらにそのゲーム内だけでなく、他のゲームにも使用できるものも出てくると思うので、ゲームのアイテムが本当に自分の所有物かのように、所持することができるようになります。

トレーディングカードゲーム

遊戯王やポケモンカード、マジックザギャザリングなどを代表するトレーディングカードもかなりNFTと相性がいいものの1つです。それは強いカードを集めるだけでなく、全部コンプリートしたいというコレクション要素もあり、レア度や、その希少性によってそのカードの価値が決まるからです。カードゲームは実際のカードを使って対戦するの醍醐味ではありますが、最近ではオンライン化がかなり進んでいます。遊戯王はかなり力を入れており2022年に新たにリリースされたオンライン版「マスターデュエル」は3月の時点で2000万ダウンロードを突破したようです。ポケモンカードも日本語には対応していないですが、「ポケモンカードオンライン」としてゲームが存在します。まだブロックチェーンゲームとしてはリリースされていませんが、もしカード1枚1枚がNFT化すれば世界にカードが何枚存在するのか、誰が所有しているのか把握でき、コレクションの競争も活発になり、ものすごく盛り上がりを見せると思います。

不動産、メタバース

不動産業界とNFTも相性がよいとされています。実際の日本の土地をNFT化するには土地所有者の理解も必要なので、ルール作りにはかなりの時間が必要かもしれません。しかし、日本本土の土地をルールに基づいて細分化し、すべてNFTで管理できるような時代が来たら、不動産売買や貸し借りが手軽に契約もスムーズに行える時代が来るのではないでしょうか。

最近はメタバースという言葉も出てきています。実際の土地ではなく、仮想空間の世界です。世界的企業のFacebookが社名をMeta(メタ)に変更するなど、世界中でその可能性に注目しています。その中でもThe Sandbox (ザ・サンドボックス)やDecentraland(ディセントラランド)有名で実際有名企業との提携や土地購入が活発に行われており、実際の生活の基盤となるような世界になれば、メタバースの土地所有者はデジタル不動産収入を得たり、土地売買で稼げると期待されています。

まとめ

NFTやブロックチェーン技術や暗号資産はまだまだ発展途上ですが、可能性は無限大です。世界の仕組みを大きく変えるような革命的な技術とまで言われています。今までの常識を覆すようなことが今後起こるかもしれません。利用する側は技術的なことは関係ないため、理解しなくても、なんとなく感覚でわかっていればいいと思います。大事なのはNFTやブロックチェーン技術によって世の中がどう変わっていくか、私たちの暮らしにどんなメリットがあるのか、そこにどんなビジネスチャンスがあるのかを考え、賢く利用することではないでしょうか。