今、AIの学習機能を使って単語や文章から画像を作成するサービスが公開され、話題になっています。
すでに世界中で使用され、類似のサービスがいくつも生まれている状況です。
サービスの多くは無料で使用でき、完成度の高いイラストがごくわずかな短時間で生成されます。
活用されたそのほかの例として、Twitterで連載されている小説「ニンジャスレイヤー」の公式アカウントが、挿絵にミッドジャーニーを活用したことで話題になりました。
海外では、イギリスの雑誌『エコノミスト』2022年6月号では、表紙を制作にミッドジャーニーが使用されたり、イラスト作成AIを使用した作品が、美術品評会で1位を受賞してしまったことが話題となりました。
人間の営みのひとつであり、芸術でもある絵画。これはイラスト作成AIの隆盛によって人の手から奪われてしまうのでしょうか？
この記事では、イラスト作成AIブームの先駆け「ミッドジャーニー（midjourney）」サービスの紹介と、AIによって形を変えていくであろう創作物の未来について深掘りしていこうと思います。
Contents
ミッドジャーニー（midjourney）とは
まず、「ミッドジャーニー（midjourney）」とは単語や文章などのテキストから作成する人工知能プログラム（AI）であり、そのAIを開発したデイヴィッド・ホルツ氏が代表を務めている研究所を指します。
ミッドジャーニーを使用したイラスト作成は、「Discord（ディスコード）」というチャットサービス上で利用できます。
「Discord（ディスコード）」とは、インスタントメッセージの送受信やビデオ通話ができるフリーウェアです。
元々ゲーマー向けに開発されたアプリで、ユーザーは気軽に「サーバー」と呼ばれるチャット部屋が作成できることから、ゲーマーやYoutuberの間で人気があります。
メールアドレスの登録だけでアカウントが作成できるため、気軽に使用できるのも大きな特長です。
ミッドジャーニーの使い方
ここでは、Discordの登録方法から、ミッドジャーニーの使い方を簡単に紹介します。
①Discordをアカウントを作成
まずは、Discordを登録します。Discordは、Windowsダウンロード版や、スマホアプリ、ブラウザでも使えます。1回アカウントを作ってしまえば、それぞれ、内容は自動的に同期されるので、便利です。
Discordダウンロードページ
まずはDiscordのこちらのダウンロードページを開いてみて下さい。
右上のログインからもアカウント作成画面へ進むことができます。
スマホ版Discordアプリのダウンロード
iPhoneユーザーならApp Store、アンドロイドユーザーならGoogle Playで「Discord」と検索してみてください。以下の画像はApp Storeです。
アカウント作成
- メールアドレス
- ユーザー名
- パスワード
- 生年月日
などの項目を入力します。入力したメールアドレスにアカウント作成のメールが送信されるので、認証できれば完了です。
②ミッドジャーニーのサイトからディスコードを連携する
出典：midjourneyの公式サイト
Discordのアカウントを作成したら、ミッドジャーニーの公式サイトに行って、トップ画面の「Join the beta」をクリックすれば、Discordの招待を受けることができます。
「既にアカウントをお持ちですか？」をクリックすれば、完了です。
③DiscordでNEWCOMER ROOMSに入る
Midjourneyアカウントの画面に入ったら、左側にある、「NEWCOMER ROOMS」にある「newbies-〇〇」の好きな数字のルームに入ります。
ここは基本的に初心者が使える部屋になっています。
④キーワードを入力し、イラストを作成する
チャットのメッセージ欄に「/imagine」と入力しEnterを押すと、「/imagine prompt」と表示されます。
そのあとに作成したいイメージの好きなキーワードを入れてEnterを押すと、画像の作成が開始されます。
ここでは、例として「blue sky」と入力しました。1分ほどで以下のような4枚の画像が作成されました。
⑤できたイラストの完成度を高める
さらにここから、コマンドボタンを押して、自分の希望に沿ったイラストの方向性を指示しながら、完成度を高めることができます。
「U」＝「Upscale（高画質で作成する）」
「V」＝「Variation（バリエーションを増やす）」
数字の意味は、4枚のイラストのうち、どのイラストに指示を適用させるかという選択です。
左上＝１ 右上＝２ 左下＝３ 右下＝４ を差します。
今回は右下のイラストを高画質で作成するため、「U4」を選択しました。
出来上がった画像がこちら。
⑥より自分の理想に近づける
ここからさらに、ボタンが現れるので、意図している画像へと、修正を加えていくことが可能です。
・Make Variations（画像を元に、新たにバリエーションを作成する）
・Upscale to Max（現在の画像を最高画質で作成する）
・Light Upscale Redo（同じ解像度のまま、細部の表現を減らして作成し直す）
・Beta Upscale Redo（テイストを変えて作成し直す）
・Remaster（全体的な雰囲気やモチーフの位置は維持したまま、新しい画像を作成する）
作成のコツ
キーワードは、単語よりも文章で入力する方が精度の高い結果を得られます。
キーワードはDiscordのサーバーチャット内で公開されており、他の利用者のキーワードをコピーしたり、創作途中の画像から作成を引き継ぐことも可能です。
また、midjourneyのサーバーでは、アクセス数の多い制作物のランキングを公表しているため、完成された制作物から逆算して、自分の作りたいイラストに適したキーワードを探るのも楽しみの一つと言えるでしょう。
ミッドジャーニーの注意点
イラストを手軽に作成できるミッドジャーニー。イラストを描く上で必要なキーワードも公開され、誰でも自由に引用できますが、一方で権利上の問題はないのでしょうか。
ここでは、ミッドジャーニーの利用規約から気になる一部分を抜粋しています。詳しく知りたい方は、利用規約を確認してみてください。
midjourneyがユーザーに許諾する権利について
Your Rights
Subject to the above license, you own all Assets you create with the Services. This does not apply if you fall under the exceptions below.
＜訳＞”上記のライセンスに従い、お客様は本サービスを使用して作成したすべての資産を所有します。ただし、以下の例外に該当する場合は、この限りではありません。”
基本的に、ミッドジャーニーで作られた画像はキーワードを入力したユーザー側がすべての権利を保持できます。
有料のサブスクリプションプランに契約していなくても、作成したイラストをSNS等で自由に公開できる点も、ミッドジャーニーが全世界で流行した理由の一つです。
ユーザーがmidjourneyに許諾する権利について
Rights you give to Midjourney
By using the Services, you grant to Midjourney, its successors, and assigns a perpetual, worldwide, non-exclusive, sublicensable no-charge, royalty-free, irrevocable copyright license to reproduce, prepare Derivative Works of, publicly display, publicly perform, sublicense, and distribute text, and image prompts you input into the Services, or Assets produced by the service at your direction.
＜訳＞”本サービスを利用することにより、お客様は Midjourney、その後継者、および譲受人に、お客様が本サービスに入力したテキスト、および画像プロンプト、またはお客様の指示により本サービスが生成した資産の複製、派生物の作成、公開表示、公開実行、サブライセンス、および配布に関する永久、世界、非排他、サブライセンス可能、無償の取消不能著作権を許諾するものとします。”
ただし、完成したイラストや制作に使用したキーワード等については、ミッドジャーニー側が自由に使うことがある、とされています。
権利についての注意点
Please note: Midjourney is an open community which allows others to use and remix your images and prompts whenever they are posted in a public setting. By default, your images are publically viewable and remixable. As described above, you grant Midjourney a license to allow this. If you purchase a private plan, you may bypass some of these public sharing defaults.
＜訳＞”注意：Midjourneyはオープンなコミュニティであり、あなたの画像やプロンプトが公共の場に投稿された場合、他の人がそれを使用し、リミックスすることを許可しています。デフォルトでは、あなたの画像は一般的に閲覧可能であり、リミックス可能です。上記のように、お客様はMidjourneyにこれを許可するライセンスを付与しています。プライベートプランを購入された場合、これらの公開共有のデフォルトの一部を回避することができます。”
さらに注意点としては、ミッドジャーニーを使用する他人も制作物を閲覧したり、制作の引き継ぎができると特記されています。
ただし、有料オプションとして、制作物を他者から見られないようにブロックする機能や、商用利用が可能になるサブスクリプションプランも用意されています。
まとめ
ここでは、ミッドジャーニーの基本的な使い方を解説しました。
ミットジャーニーは、数分で、芸術的なイラストを作成できる革命的な技術ですが、一方で、今までの常識では考えられなかったような社会への影響が懸念されます。
世界中のイラストレーターの仕事に影響が出たり、アートの世界では、「芸術」という概念すら覆ってしまうほどの衝撃かもしれません。
ですが、テクノロジーの進化はだれにも止められません。「人類とAIの共存」という難しい問題ですが、うまく活用され社会にいい影響を与えてくれることを願います。
