特に新卒の就職活動は人生において、とても大きなイベントで、今後の生活を大きく変えるものです。みなさんは何らかの業種の「株式会社」に就職することでしょう。株式会社は、その出資者である株主に、配当という形で報酬を支払うため、利益を出し続け、成長し存続し続けることが使命です。学校で、そういった経済のこと(世の中の仕組み)を勉強してきた人もいるかと思いますが、何も知らずになんとなく会社を選んでしまうと、就職した後に後悔して転職したなんて人も周りにいます。就職活動する前に経済のことを知っておけば、必ず会社選びに役に立ちますし、志望動機にも使えます。ここでは世の中の仕組みを知る上で必要な基本的な経済・流通のことを書いていきたいと思います。
Contents
入社前に知っておくべき経済のこと
資本主義は稼いだ者勝ちの世界
経済とは、人間が自分達の生活環境をよくするために行う活動であり、 サービスや商品の生産・分配・消費などに関する働きのことです。 誰もが自由に商品を生産し、販売、消費することができる社会、つまり「資本主義」である日本は、「お金を稼いだ者」が優位に立てる社会なのです。少し汚い言い方をしてしまいましたが、考えてみるとほとんどの人が「お金を稼ぐため」に作られた会社に雇われ、会社の一員となって働き、儲かったお金から給与として報酬をもらう生活しています。公務員や非営利団体、ボランティア活動などでなければ、儲け(利益)を追求することは普通なのです。そうしないとそもそも会社が存続できませんし、雇っている従業員にお金を支払うことができません。ここで言いたいのは、社会で働くことのベースは、お金を稼ぐこと(に貢献すること)だということです。
また、自分でビジネスになるものを見つけることができれば、雇われる側ではなく、事業を立ち上げて雇う側に立つこともできます。努力し行動を起こした結果、成功すれば誰でも億万長者になれるチャンスがある反面、成功者と非成功者の間で収入の格差が生まれているという問題もあります。
お金の流れが景気をよくする
みんながお金を使えば景気が良くなります。みんながたくさんお金を使うと、商品が売れ、会社が儲かり、給料があがり、給料がった分、またお金を使うという、いい循環が生まれるからです。別の記事でも書いたので、あわせて読んでみて下さい。
入社前に知っておくべき流通のこと
基本的なモノの流れ(流通)を知っておくと、会社選びのときなどに役に立ちます。流通とは商品が生産者から消費者の手に渡るまでの過程のことです。例を挙げてみると、下記のような流れが一般的です。
メーカー → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者
流通の例
ポテトチップスの場合
ジャガイモの生産者→お菓子メーカー→食品を幅広く扱う卸売り業者→スーパーなどのお店→私たち
ゲームソフトの場合
ゲームメーカー→ゲーム、電子機器など幅広く扱う卸売業者→家電量販店などのお店→私たち
これらの流通で、各業者が取引し、我々の手にわたるのです。しかし、私たち消費者も商品を選ぶ権利があり、質の良いもの、魅力的なものを選ぼうとするので、メーカーは、他社よりも売れるものを作ろうと、日々模索し、努力しています。このような各会社の競争が生まれることによって、いい商品、新しい価値のあるものがつぎつぎと生まれ、我々の生活に価値を与えてくれているのです。
流通の3つの要素
ビジネスの中で、このような流通経路を川に例えて、川上のことをメーカー、川中を卸売業者、川下を小売業者であらわすことがあります。流通のことがわかれば、就職するにおいて、どの会社に入社したいか判断できます。
メーカー
メーカーとは製造業者のことです。一般の会社で言うと、自社で商品を企画開発し、ターゲットとなる層に向けてCM、広告等で宣伝し販売促進を行いながら営業し、売上を上げている会社です。メーカーの面白いところはなんと言っても自社商品をもてることです。開発や企画に携わることができれば、そのやりがいは計り知れないでしょう。
特に、歴史があり世代問わずみんなが知っているようなブランドを持つメーカーは、とても強いです。例えばポテトチップスを代表するカルビーは昔から愛され続けているブランド力をもち、たくさんの超ロングセラー商品を生み出してきた会社です。この世からカルビーの商品が無くなるなんて想像もつきません。カルビーのポテトチップスを置いていないスーパーやコンビニを探すことの方が大変です。
しかし、有名なメーカーであればあるほど、就職先として人気が高く、倍率も高い傾向にあります。また、知名度がある身近な会社だからこそ、会社の信用やコンプライアンス(法令遵守)が求められますので、徹底した社内ルールや厳しさなどがある点が大変かもしれません。
卸売業者
皆さんが一番ピンとこないのではないでしょうか。卸売業者とは、簡単に言ってしまうとメーカーから仕入れた商品を、小売業者などに販売する業者です。つまり、数多あるメーカーから商品を仕入れ、幅広い商品を扱い、小売店に商品を提供します。幅広く商品を扱っている強みから、お店への売り場提案、問い合わせのフォローをしながら信頼関係を気づいていくことが重要になってきます。
一般に、たくさんのメーカーや小売店の間にはさまれて、多くの取引をしなくてはならないため、基本的に忙しく、お客さんから問い合わせなどがきた場合も、製造元のメーカーに問い合わせて回答しなければならないなど、板ばさみ状態になるイメージがあります。お店のバイヤーなどと信頼関係を築き、一緒に売れるお店、売り場を作ることがやりがいになります。
小売業者
小売業者とは、仕入れた商品を、消費者(私たち)に販売する業者で百貨店、スーパー、コンビニはもちろん、飲食店も含まれます。一般のお店を構えている小売業者であれば、商品を販売することだけでなく、店舗人員配置、従業員教育、出店計画、売上管理、キャンペーンなどの企画立案など仕事は多岐にわたり、お店としてのブランドを育て大きくしていくことを目的とした仕事です。
店舗数が多く、影響力のある小売店では、メーカーと共同開発し、その店でしか売っていないブランド商品を開発するケースもあります。これをプライベートブランドといいます。例えばイオンの「トップバリュ」やセブンイレブンの「セブンプレミアム」などが有名です。この中では私たち(消費者)に一番身近な存在です。
まとめ
今まで、適当に受かった会社に就職すればいいやと思っていた人もいるかもしれませんが、これらを読んで少しでも考え方が変わってくれたらうれしいです。これをきっかけに経済のことを勉強したいと思えば、書店などに「学びなおし」関連の本がたくさん売っていると思います。勉強すれば就職活動だけでなく、社会人としてのスキルとしてレベルアップできると思いますので、今後の人生に絶対に役に立つことでしょう。
就職活動は、とにかく大変かと思いますが、新卒の就職活動は人生において、とても大きな選択となりますので、慎重に探し、自分にあった会社を見つけてください。