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お金を使うと景気がよくなる?
よく「お金を使うと景気がよくなる」と言いますよね。みんながたくさんお金を使ったら、みんなの貯金がなくなり、貧乏になって景気どころじゃなくなってしまうのではないか?なかには、そう思ってしまう人もいるかもしれません。そんな方のためにお金を使うと景気がよくなる経済の仕組みをできるだけわかりやすく書いていきたいと思います。
そもそも景気とは何か
景気が良い(好景気)、景気が悪い(不景気)などと、ニュースなどで聞いたりする事があると思いますが、そもそも景気ってなんなんでしょう。調べてみても「経済活動の勢い」や「世の中のお金の流れの勢い」などとてもふわっとした説明しかありません。実は景気って目に見えるものではないので、そんな感じでしか説明ができません。その景気が良いか悪いかをどう判断しているかというと、景気を指数化した、毎月内閣府が発表している「景気動向指数」で判断しています。この指数は、経済活動に関するデータや、指標などを総合的にまとめられており、これを基準にして、昨年より景気が上向いているなどと、比較することができます。つまり、国がわたしたち生活の中で行われている買い物やサービスの消費など調べ、データ化し、常に景気の動向を見張ってくれているのです。
お金を使うと景気がよくなる
その景気をよくする方法は単純で、みんなでお金を使えば経済活動が活発となり、お金がたくさん流れることになり景気が良くなります。具体的に考えてみましょう。例えば、日本の世帯数は約5000万世帯で、その全世帯がいつもより毎月20000円多くお金を使うとどうなるでしょうか。少し高いお店で外食をしたり、子どもにおもちゃを買ってあげたり、普段行かないエステに通ってみたり、みんなさまざまなモノやサービスにお金を使うようになります。単純にいつもより1ヶ月間で1兆円ものお金が世の中に多く出回るようになるのです。それがもし継続すれば、さまざまなモノやサービスが売れ、たくさんの企業が儲かり、その企業で働いている人の給料が上がり、またその給料が上がった分、さらにお金を使い・・・という循環が生まれます。これがお金を使うと景気が良くなる仕組みです。
逆に将来が不安だからお金を使うことを控え貯蓄しようという人が多くなってしまうと、モノが売れなくなり、企業の業績は悪くなり、従業員の給料やボーナスが下がり、さらにお金を使わなくなるという、負の連鎖になってしまいます。このことを経済用語で「デフレスパイラル」と言います。ラスボスが使う必殺技みたいですが、普通によく使われる経済用語です。
貯金が美徳であるという風潮の根源の話
もしあなたが親戚の子どもにお年玉をあげたとして、使い道を聞いたときに「貯金です」と言われたらなんと答えますか。おそらく、「すごい!偉いねー!」と言う人がほとんどだと思います。しかし、経済学的に言えばアウトです。このような「我慢は偉い」「貯金=すばらしいもの」という日本の風潮の根源には、戦時中の日本から始まっていると言われています。戦時中の日本政府は戦争費用を捻出するため、「国民に贅沢は敵であり、貯蓄することが美徳である」というようなスローガンたくさん掲げ、国民に貯蓄をするよう促したのです。それは政府がそれらのお金を使いたいがための政策だったのです。
時代は変わり、現代でも政府から植えつけられたこの考えは根強く残っており、今でも親から「贅沢はだめ」「貯金しなさい」などと教えられます。それではいつまでたってもデフレ(不況)を脱却することはできません。経済学的に言えば、親は「投資を覚えなさい」「金利で資産を増やしなさい」という教育をすべきなのです。
何も生まない「タンス預金」
銀行預金であれば、預け先の銀行がその資金を使って融資や投資にまわしたりできるのですが、最悪なのは家の中に保管されている現金「タンス預金」です。へそくりなどもそうです。あえて悪い言い方をすれば、家のタンスに置いてあるだけの金利も経済活動も生まない死んだお金です。なんと紙幣の流通残高およそ100兆円の約半分がタンス貯金であるとも推定されているそうです。今の政府は戦時中の政府とは逆で、これら預金やタンス預金を消費や投資にまわしてもらおうと、必死になっています。
まとめ
なんとなく、お金を使うと経済が良くなる仕組みをわかっていただけたでしょうか。こうして考えると、今すぐお年寄りが抱える多額のタンス預金を消費や投資にまわしてもらうことは難しそうです。重要なのは我々現役世代が、お金に関する考え方を改め、これからの将来を背負っていく子供たちに、早いうちからお金や金融について学習させ、経済の仕組みを教えていくことではないでしょうか。そうすれば国民全体の意識が徐々に変わり、景気も良くなっていき、経済がますます成長していけるのではないでしょうか。